教員の勤務時間適正化の話

●教員の勤務時間って?

 一般的には7時間45分の勤務時間に、45分の休憩が入ったものが条例等で決まっているはずなので、在校時間は8時間30分ですね。

 

 朝、8時からの勤務の場合は16時30分まで。8時30分からの勤務の場合は17時までということになります。

 

 さて、そのうち児童が在校している時間は一体何時間でしょうか。以下で計算してみることとします。

 

・登校から1時間目まで30分(朝の会・朝学習等を含める)

・授業は45分×6コマ(※)

・給食、掃除合わせて1時間

・中休み、昼休み20分(計40分)

・それ以外の休み時間は5分

(※高学年の場合、1015時間という標準時数から考えると週あたり29時間が基準です。そして、この週29時間というのは、委員会やクラブ・学校行事などは入っていませんので、実際には週30時間ある日も月に何度かあることになります。)

 

朝30分

授業が4時間30分(45×6=270)

給食が1時間

休み時間が55分(5+20+5+20+5=55)

計6時間55分

 

 教員の勤務時間が7時間45分なのを考えると、児童が在校しない勤務の時間は50分しかありません。この時間で、授業準備、職員会議、各種部会、学年打ち合わせ、保護者への電話等を行うのです。どう考えても現実的には厳しいですよね。

 

 そこで、みなさんはどうしているのか。そうです、休憩時間の45分を削って授業以外の仕事をしているのですね。そうすることで、55分+45分の計1時間40分の時間ができるのです。自主的に早く来たり、自主的に残ればもっと時間を捻出できちゃうよ~!あ、持ち帰ればそれは勤務時間としてカウントされないよ~!ちゃんちゃん!!

 

 

うぉおーい!!何の解決にもなってないがな~!笑

って話なので、ここからは現実的な勤務時間適正化の話をしたいと思います。

 

では、何を見直すべきだと私、Y教務は考えているかといいますと・・・。

 

①余剰時数の確保の見直し(年間〇時間以上の確保をしない)

 基本的にどの学校でも、標準授業時数以上の授業時間を確保しています。それはインフルエンザ等で学級・学年・学校閉鎖になった時のためです。でも、これって国として何時間分確保しなさいと言われている訳ではありません。国としても、働き方改革の点からも以下のように明示されています。

 

標準授業時数を踏まえて教育課程を編成したものの災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態により当該授業時数を下回った場合,下回ったことのみをもって学校教育法施行規則に反するものではない』(平成31年3月29日付け30文科初第1797号「平成30年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査の結果及び平成31年度以降の教育課程の編成・実施について」(初等中等教育局長通知)に関する補足説明 より抜粋

 

 令和2年度のように、休校措置が長引いて授業時数が少なくなっても規則違反ではないということですね。正直、長時間授業をすれば学力が定着するわけではないですよね。どれほどの余剰時数をもつようにするのかは各学校に任されています。この余剰時数にメスを入れる事が、教務主任にできる事ではないかと考えます。(もちろん管理職の監督のもとですが。)

 

②午前中授業日の実施

 余剰時数を減らすことで、何が可能になってくるのか。その1つに午前中授業日の実施があると考えます。学期のはじめや、終わりの給食のない時期の事ではありません。学期の途中に給食を食べた後にすぐ下校するという、午前中授業の日を挟むのです。

 『職員研修のための午前中授業日』として、職員会議や研修等の全職員対象のものをその日に入れることで定時を過ぎての会議を減らすことができるのではないでしょうか。

 

③行事等の見直し

  学校行事は授業時数にカウントされません。体育大会や音楽会は本番に向けての練習も通常の授業を圧迫するほど練習する事も学校では起こっています。適切な授業時数で完成する行事内容にするとともに、根本的に「その行事は必要か?」とゼロベースで見直すことも大切です。

 

④校時表の見直し

 勤務時間のほとんどの時間、児童が在校している状態を改善するためには、児童の在校時間を減らす必要があります。そこで、できることは校時表の見直しです。具体的には間をつめることができるのではないかと考えています。朝の児童の登校時間から、休み時間の長さや掃除時間についても検討の余地はあると考えています。

 

それぞれの①②③④について、単独で短い記事をまた作成できればと思います。

 

 こうやって勤務時間にメスを入れたいのは、決してやる気がないからではなく本来、教員として力を注ぐべき「授業準備・授業研究等」の時間を確保したいからです。学校の教員としてこの部分の改革は切に願うところです。

 

教師を辞めようと思ったこと

今回は、私Y教務主任が過去にこの仕事を辞めようと思った時のことについて発信しようと思います。

 

Twitterを見ていると、「教師を辞めたい」「教師に向いていない」「今年度で辞めます」「今日休んでしまった」等のつぶやきを目にすることがあります。日々の学級経営や業務量の多さに疲弊し、同僚にも言えない悩みを打ち明ける人がいる、このTwitterで繋がっている人たちだからこそ、自分の過去の気持ちも知ってもらいたいと思います。

 

今現在実際に『辞めたい』と思っている人、過去に『辞めたい』と思ったことのある人、今まで『辞めたい』と思ったことのない人、もうすでに『辞めた』人、色々な方に読んでいただけると幸いです。

 

私が教師を辞めようと思ったのは、今の学校に異動してすぐのことです。前任校で生徒指導担当をして異動してきた私は、ある程度、学級経営と児童の指導には自信がありました。

 

異動先の校長から「来てすぐで大変だと思うけど、6年生をお願いします」との打診があり、前任校の最後が6年生だった自分は2つ返事で了承しました。

 

詳しく話を聞くと、前年度は離席や授業妨害等で結構大変だったこと、引っ越しに伴う児童数減で3クラスから2クラスになるということがわかりました。

 

でも、その時の自分は『今まで、うまいことやってきたんだ。大変な学年と言われたところも何とかやってきたし、自分が頑張れば子どもも成長して変わる。』と信じていました。

 

 いざ始まってみると4月当初から本当に大変。

 

休み時間のトラブルはもちろんの事、靴隠し、掲示物への落書き、移動教室からの逃亡、給食へのいたずら、放課後のトラブル・・・などなど、書ききれないほど。専科時間、休み時間、給食時間って何?という状況。教室から離れられない、全く目が離せない状況。

 

学年担任2人で、放課後顔を合わせてはため息しかでない状況。5月半ばにはもう限界、職員朝礼で他の先生方にヘルプを頼むことになりました。

 

ほとんどの児童の保護者は協力的で、連絡を密に取り、いつでも学校で参観いただくことで解消に向かいましたが、一部の保護者からはご協力が得られずに悪化。

 

「家では私たちの言うことを聞く」

「先生の指導方法がわるいんではないですか?」

「なんでうちの子を捕まえて指導するのですか?体罰では?※」

(※他の児童に危害が加わらないようにするための「有形力の行使」の範囲内)

 

 そのような声が心に突き刺さりました。今まで、自分がやってきた事が一部の児童に全く通用しない。教師に対する暴言・暴力、それが複数の児童から続き、中間層の児童も流されかけた時、正直心が折れました。

 

その後、体の異変が。食欲が全く出ずに、一日一食も食べられない日もありました。睡眠にも影響があり、布団に入っても数時間眠ることができなくなりました。目をつむると辛いシーンが蘇る。

 

子どもの前に出るときにも異変が。言葉がうまく出てこない、手足が震える。口の中に変な味が広がる。などが出てきて、これはまずいと感じ、6月末のある日・・・学年主任と管理職に伝え、午後休を取得。

 

家に帰って、布団に入るも頭の中は学校・児童のことでいっぱい。

「あぁ、子どもをほって帰ってきてしまった・・・」

「もう2度と学校へは戻れないかもしれない・・・」

涙が止まらない、体を起こせない・・・

 

次の日、初めて朝から休みました。

「おわった・・・私の教師人生はここでおわった。」

正直、そう思いました。

 

布団の中で天井を見上げるしかできない。昨日からほぼ2日間何も食べてない。

でもお腹も空かない。どうしてしまったんだ自分は。悲しさしかありませんでした。

 

夕方、同僚の教員から着信が。

同:「大丈夫か?辛かったなぁ・・・実は、自分も数年前Yさんと同じような気持ちになったよ。どうだろ、一回僕が行っていた心療内科に通ってみないか。」

 

心療内科か。

 

正直、自分が心療内科に通うことになるなんて、思ってもみませんでした。知ってはいたけれど、心の病気って「気の持ちようだ」と間違った考えを片隅で感じていた自分がいました。

 

同:「一回話を聞いてみてもらうだけでも、気持ちが楽になるかもよ。お節介かも知れないけど、自分で悩みを抱えるよりはいいと思うよ。」

 

正直、その同僚の教員が心療内科通いをしているなんて知りませんでした。

(もしかすると、本当に同僚の先生みたいに戻れるのか・・・?)

半信半疑の私でしたが、もう他にすがれるものも無いので行ってみることに。

 

心療内科では、自分の今の立場や症状の話を医者にしました。同僚教員からの紹介で来た旨も伝えていたので、色々と話はスムーズでした。

 

医:「教員の方々って本当に大変だよね。辛かったですね —―――― 。」

 

心療内科の先生の前で大の大人が号泣してしまいました。たくさん話を聞いてもらう中で、少しずつ落ち着きを取り戻しました。薬をもらって、家に帰り、しばらく乗ってなかった体重計に乗ってびっくり。約3か月で10キロ以上体重が落ちていました。

 

その日から、薬をもらっての通院が始まりました。

 

次の日、管理職と面談し心療内科に通い始めた旨を伝えました。それと同時に「休職したり退職したりするつもりはない。」と伝えました。何故そうする決断をしたのかは、わかりません。でも、同僚に同じ境遇の人がいたことや、周りのサポートがあると感じたからではないかと思います。

 

1日半休んだことは、保護者の方にも「先生大丈夫か?」と心配されました。が、これは思わぬ効果がありました。協力していただける保護者が増えたのです。

 

「体調が悪くなられて、お昼から帰られたと子どもから聞きました ―—――― 。」

「私は全力で立ち向かってくださる〇〇先生をサポートします。」

「良いことも、悪いことも私たち保護者に伝えてください ――――――――― 。」

などなどのお手紙でのメッセージ等もいただきました。

 

そこからは状況が格段に良くなることを望むのではなく、少しずつでもできたことを喜び、職員室で吐き出す(雑談から職員会議での現状報告など)ことで気持ちは少しずつ楽になりました。

 

同僚の他の教員にも、通院の事を打ち明けていましたので移動教室の際には教室の前を通って児童に声をかけてくださったり、休み時間に教室にいる私に声をかけてくださったりもしました。

 

『本当にありがたい・・・』

 

正直、力を過大評価していた自分がいた。

「今までうまくいってたから、これからも大丈夫だろう。」

「学級崩壊?そんなのうまくやってないから起こるんでしょう?」

「どんな児童でも、自分が変えてみせる!」

 

今思えば、ものすごい勘違いをした教員だったんだな…と感じます。その後は、夏休みを挟んだおかげで気持ちも持ち直しなんとか続けることができました。

 

2学期から心がけたことは、たくさんありますが代表的なものを…

 

・中間層の児童の引き上げ

・児童1人1人の活躍の場を

・保護者との連絡の強化

・職員朝会等での細かい現状報告とお願い

 

①『中間層の児童の引き上げ』について

一番何がしんどかったって、多人数が流されることでクラスの雰囲気が急激に悪化したことです。一部しんどい児童がいても、全体として頑張っていこうという雰囲気があると教壇に立つ人間としてやっていけます。なので、その中間層の児童をしっかりとみることを意識しました。両極端で目立つ子をついついほめがちになってしまいますが、この中間層こそが、学級の色を大きく左右します。

 

②『児童1人1人の活躍の場を』について

①で書いた中間層の児童の引き上げにもつながることですが、些細な事でもほめるためにそれぞれに活躍の場を設ける(意図的にしかける事もあれば、その場に応じて任せることも)ことにしました。

座って授業を受けることが苦手な子も、逆を返せば活発で何に対してもすぐ反応できるというように自分自身のとらえ方を変えました。大きな声で号令を出す子、体育の際に見本になる動きをする子、〇〇しようぜ!とリーダーシップを発揮する子…そんな中で、残って掃除を手伝ってくれる子や配布物の手伝いをしてくれる子など目立たないところで活躍してくれる子にも焦点をあて、その場でほめるだけでなく学級通信等で保護者にも紹介しました。

 

③『保護者との連絡の強化』について

②で書いた学級通信等での発信は全体に向けてですが、それとは別に電話連絡をこれまで以上に密にして「いいことも悪いことも」伝えることにしました。その理由は、両方の出来事を伝えることで、保護者にとっても『学校から連絡=問題があった』と思わないでいただきたかったからです。正直、かなりしんどいことでしたがそうすることで自分の子どもの悪い面ばかり担任はみていると思っていた保護者も、ある程度学校に協力的な姿勢で児童を見てくれるようになりました。

 

④『職員朝会等での細かい現状報告とお願い』について

「自分の学級がうまくいってない」と同僚教員に伝えることは非常に勇気がいることでした。しかし、目の前の学級をうまく経営できていない場面でそんなことを言ってられません。具体的にどういう場面で困っていて、どのようにサポートしていただきたいのか。周りの先生方からしても、どこまで手を差し伸べていいのか正直担任からのアピールがないとわかりにくい部分があります。細かい現状報告をすることで、自分自身や担任しているクラスの「今」を振り返る事ができると同時に周りのサポートが受けやすくなります。

 

色々長く書いてしまいました。まだまだ書きたいことはたくさんありますが、続きはまたの機会に書くとします。

 

今、しんどい思いをしているすべての先生方に少しでも参考にしていただければと思います。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

教務主任って?

  • 教務主任について

 私、Y教務主任は2年目の教務主任です。教務主任ってどんな仕事をしているのか。教務主任になるまで考えたこともありませんでしたが、やってみてわかったことや悩ましい点などをこのブログでは書いていければと考えています。

  • 教務主任の位置づけ

まず、教務主任とはどのような立ち位置なのでしょうか。充て職と呼ばれる、その学校の教員の中で誰かが担当するという役割の1つです。充て職は他には、学年主任や生徒指導主事などがあります。

学校教育法施行規則の中で、『教務主任は、校長の監督を受け、教育計画の立案その他の教務に関する事項について連絡調整及び指導、助言に当たる。』とされています。

 

  • 教務主任のお仕事

『教育計画の立案その他の教務に関する事項についての連絡調整及び指導、助言に当たる。』となっていますが、実際にはどのような仕事を教務主任はしているのでしょうか。学校、市町村によってかなりバラつきがあるとは思いますが、実際にY教務自身が経験したことをもとにまとめていこうと思います。

≪主な教務としての仕事≫

・教育課程の編成

・教育計画の作成

・時間割の作成

・年間行事計画の作成、月行事予定の作成・調整

・学習評価の計画

などがあります。特に年度末や年度はじめがかなり仕事としては立て込んでいます。教務主任だけで仕事を行うのではなく、部会で教務部を立ち上げて分担して動いている学校も多いのではないでしょうか。

 

  • 教務主任の立ち振る舞い

みなさんの学校の教務主任はどんなタイプですか?自分が今まで学校内で出会った教務主任の方や今、周りで同じように教務主任をしている方を考えてみるといくつかのタイプに分かれるのではないか、と考えています。

 

1.かかえ型

 管理職からのお願い、教員からの意見の集約等何でも自分がやりますという人。本来の業務以外の仕事も抱えがちで、周りの先生方からは頼りにされているけれども超過勤務しがち。

2.分散型

 教務部等を立ち上げたり、校務分掌の見直しを行ったりして仕事の分散を積極的に行うタイプ。教務主任としての仕事は何なのかを明確化し、仕事をこなしていく。ただ、管理職と教職員を繋ぐ役割としては少し弱い。

3.ハイブリット型

 1と2の複合型。仕事の分散を行った上で、各分掌担当(教務分野)との連絡を積極的に取り、学校というチームで動く認識をもって動くタイプ。管理職と教職員を繋ぐリーダーとして動く意識をもつ。

 

個人的には3の教務主任を目指したいと考えています。

教務主任って、充て職の1つなのだから他の分掌と同じように『だれが・いつ』なっても、学校が回るようにしておく必要があります。そのように考えると、『求心力があるリーダーである』ことも必要ですが、学校としての組み立てを考える必要があると感じます。

 

自分が教務主任をしているうちに、どのような形にするのがベスト(よりベター)なのか考えていきたいと考えています。

Y教務主任の自己紹介

はじめまして、Y教務主任です。

小学校の教員をしています。名前の通り、教務主任です。

最初の投稿なので、軽く自己紹介をしようと思います。

 

関西地方の海の町出身の昭和生まれ。祖父は漁師でした。

 

小学校の教員を目指したのは、小学校5年生の時。

その時の担任に出会っていなければ、自分は今この仕事はしていません。

 

大学院在学中には、中学校の非常勤講師としても働きました。

その後、小学校の教員となり早十数年。

 

まだまだ若手!と思っていた異動先で、すぐに教務主任に。

うちの自治体は教務主任=担任外ではなく、担任をしながらの兼務。

教務主任として、学校運営に携わる中でこれまで目指すことを意識しなかった

『管理職』に興味を持つようになりました。

 

正直、児童と関わって当たり前のこの仕事。

自らその時間を減らすような管理職を志すとは思いませんでした。

 

まだ、うちの自治体では管理職試験を受けられる年齢ではありません。

ですが、何でも興味をもったうちにはじめてしまおうと考えています。

 

ぜひ、色々な意見交流もしたいと思いますのでよろしくお願いします。

 

このブログ、およびTwitterでは自分の日々の想いを中心に書き綴っていきます。

個人的な見解ですので、偏った意見もあるかと思います。

そのときは、遠慮せずにコメントしてくださいね。