教師を辞めようと思ったこと

今回は、私Y教務主任が過去にこの仕事を辞めようと思った時のことについて発信しようと思います。

 

Twitterを見ていると、「教師を辞めたい」「教師に向いていない」「今年度で辞めます」「今日休んでしまった」等のつぶやきを目にすることがあります。日々の学級経営や業務量の多さに疲弊し、同僚にも言えない悩みを打ち明ける人がいる、このTwitterで繋がっている人たちだからこそ、自分の過去の気持ちも知ってもらいたいと思います。

 

今現在実際に『辞めたい』と思っている人、過去に『辞めたい』と思ったことのある人、今まで『辞めたい』と思ったことのない人、もうすでに『辞めた』人、色々な方に読んでいただけると幸いです。

 

私が教師を辞めようと思ったのは、今の学校に異動してすぐのことです。前任校で生徒指導担当をして異動してきた私は、ある程度、学級経営と児童の指導には自信がありました。

 

異動先の校長から「来てすぐで大変だと思うけど、6年生をお願いします」との打診があり、前任校の最後が6年生だった自分は2つ返事で了承しました。

 

詳しく話を聞くと、前年度は離席や授業妨害等で結構大変だったこと、引っ越しに伴う児童数減で3クラスから2クラスになるということがわかりました。

 

でも、その時の自分は『今まで、うまいことやってきたんだ。大変な学年と言われたところも何とかやってきたし、自分が頑張れば子どもも成長して変わる。』と信じていました。

 

 いざ始まってみると4月当初から本当に大変。

 

休み時間のトラブルはもちろんの事、靴隠し、掲示物への落書き、移動教室からの逃亡、給食へのいたずら、放課後のトラブル・・・などなど、書ききれないほど。専科時間、休み時間、給食時間って何?という状況。教室から離れられない、全く目が離せない状況。

 

学年担任2人で、放課後顔を合わせてはため息しかでない状況。5月半ばにはもう限界、職員朝礼で他の先生方にヘルプを頼むことになりました。

 

ほとんどの児童の保護者は協力的で、連絡を密に取り、いつでも学校で参観いただくことで解消に向かいましたが、一部の保護者からはご協力が得られずに悪化。

 

「家では私たちの言うことを聞く」

「先生の指導方法がわるいんではないですか?」

「なんでうちの子を捕まえて指導するのですか?体罰では?※」

(※他の児童に危害が加わらないようにするための「有形力の行使」の範囲内)

 

 そのような声が心に突き刺さりました。今まで、自分がやってきた事が一部の児童に全く通用しない。教師に対する暴言・暴力、それが複数の児童から続き、中間層の児童も流されかけた時、正直心が折れました。

 

その後、体の異変が。食欲が全く出ずに、一日一食も食べられない日もありました。睡眠にも影響があり、布団に入っても数時間眠ることができなくなりました。目をつむると辛いシーンが蘇る。

 

子どもの前に出るときにも異変が。言葉がうまく出てこない、手足が震える。口の中に変な味が広がる。などが出てきて、これはまずいと感じ、6月末のある日・・・学年主任と管理職に伝え、午後休を取得。

 

家に帰って、布団に入るも頭の中は学校・児童のことでいっぱい。

「あぁ、子どもをほって帰ってきてしまった・・・」

「もう2度と学校へは戻れないかもしれない・・・」

涙が止まらない、体を起こせない・・・

 

次の日、初めて朝から休みました。

「おわった・・・私の教師人生はここでおわった。」

正直、そう思いました。

 

布団の中で天井を見上げるしかできない。昨日からほぼ2日間何も食べてない。

でもお腹も空かない。どうしてしまったんだ自分は。悲しさしかありませんでした。

 

夕方、同僚の教員から着信が。

同:「大丈夫か?辛かったなぁ・・・実は、自分も数年前Yさんと同じような気持ちになったよ。どうだろ、一回僕が行っていた心療内科に通ってみないか。」

 

心療内科か。

 

正直、自分が心療内科に通うことになるなんて、思ってもみませんでした。知ってはいたけれど、心の病気って「気の持ちようだ」と間違った考えを片隅で感じていた自分がいました。

 

同:「一回話を聞いてみてもらうだけでも、気持ちが楽になるかもよ。お節介かも知れないけど、自分で悩みを抱えるよりはいいと思うよ。」

 

正直、その同僚の教員が心療内科通いをしているなんて知りませんでした。

(もしかすると、本当に同僚の先生みたいに戻れるのか・・・?)

半信半疑の私でしたが、もう他にすがれるものも無いので行ってみることに。

 

心療内科では、自分の今の立場や症状の話を医者にしました。同僚教員からの紹介で来た旨も伝えていたので、色々と話はスムーズでした。

 

医:「教員の方々って本当に大変だよね。辛かったですね —―――― 。」

 

心療内科の先生の前で大の大人が号泣してしまいました。たくさん話を聞いてもらう中で、少しずつ落ち着きを取り戻しました。薬をもらって、家に帰り、しばらく乗ってなかった体重計に乗ってびっくり。約3か月で10キロ以上体重が落ちていました。

 

その日から、薬をもらっての通院が始まりました。

 

次の日、管理職と面談し心療内科に通い始めた旨を伝えました。それと同時に「休職したり退職したりするつもりはない。」と伝えました。何故そうする決断をしたのかは、わかりません。でも、同僚に同じ境遇の人がいたことや、周りのサポートがあると感じたからではないかと思います。

 

1日半休んだことは、保護者の方にも「先生大丈夫か?」と心配されました。が、これは思わぬ効果がありました。協力していただける保護者が増えたのです。

 

「体調が悪くなられて、お昼から帰られたと子どもから聞きました ―—――― 。」

「私は全力で立ち向かってくださる〇〇先生をサポートします。」

「良いことも、悪いことも私たち保護者に伝えてください ――――――――― 。」

などなどのお手紙でのメッセージ等もいただきました。

 

そこからは状況が格段に良くなることを望むのではなく、少しずつでもできたことを喜び、職員室で吐き出す(雑談から職員会議での現状報告など)ことで気持ちは少しずつ楽になりました。

 

同僚の他の教員にも、通院の事を打ち明けていましたので移動教室の際には教室の前を通って児童に声をかけてくださったり、休み時間に教室にいる私に声をかけてくださったりもしました。

 

『本当にありがたい・・・』

 

正直、力を過大評価していた自分がいた。

「今までうまくいってたから、これからも大丈夫だろう。」

「学級崩壊?そんなのうまくやってないから起こるんでしょう?」

「どんな児童でも、自分が変えてみせる!」

 

今思えば、ものすごい勘違いをした教員だったんだな…と感じます。その後は、夏休みを挟んだおかげで気持ちも持ち直しなんとか続けることができました。

 

2学期から心がけたことは、たくさんありますが代表的なものを…

 

・中間層の児童の引き上げ

・児童1人1人の活躍の場を

・保護者との連絡の強化

・職員朝会等での細かい現状報告とお願い

 

①『中間層の児童の引き上げ』について

一番何がしんどかったって、多人数が流されることでクラスの雰囲気が急激に悪化したことです。一部しんどい児童がいても、全体として頑張っていこうという雰囲気があると教壇に立つ人間としてやっていけます。なので、その中間層の児童をしっかりとみることを意識しました。両極端で目立つ子をついついほめがちになってしまいますが、この中間層こそが、学級の色を大きく左右します。

 

②『児童1人1人の活躍の場を』について

①で書いた中間層の児童の引き上げにもつながることですが、些細な事でもほめるためにそれぞれに活躍の場を設ける(意図的にしかける事もあれば、その場に応じて任せることも)ことにしました。

座って授業を受けることが苦手な子も、逆を返せば活発で何に対してもすぐ反応できるというように自分自身のとらえ方を変えました。大きな声で号令を出す子、体育の際に見本になる動きをする子、〇〇しようぜ!とリーダーシップを発揮する子…そんな中で、残って掃除を手伝ってくれる子や配布物の手伝いをしてくれる子など目立たないところで活躍してくれる子にも焦点をあて、その場でほめるだけでなく学級通信等で保護者にも紹介しました。

 

③『保護者との連絡の強化』について

②で書いた学級通信等での発信は全体に向けてですが、それとは別に電話連絡をこれまで以上に密にして「いいことも悪いことも」伝えることにしました。その理由は、両方の出来事を伝えることで、保護者にとっても『学校から連絡=問題があった』と思わないでいただきたかったからです。正直、かなりしんどいことでしたがそうすることで自分の子どもの悪い面ばかり担任はみていると思っていた保護者も、ある程度学校に協力的な姿勢で児童を見てくれるようになりました。

 

④『職員朝会等での細かい現状報告とお願い』について

「自分の学級がうまくいってない」と同僚教員に伝えることは非常に勇気がいることでした。しかし、目の前の学級をうまく経営できていない場面でそんなことを言ってられません。具体的にどういう場面で困っていて、どのようにサポートしていただきたいのか。周りの先生方からしても、どこまで手を差し伸べていいのか正直担任からのアピールがないとわかりにくい部分があります。細かい現状報告をすることで、自分自身や担任しているクラスの「今」を振り返る事ができると同時に周りのサポートが受けやすくなります。

 

色々長く書いてしまいました。まだまだ書きたいことはたくさんありますが、続きはまたの機会に書くとします。

 

今、しんどい思いをしているすべての先生方に少しでも参考にしていただければと思います。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。